よくある物壊しいじめで加害者不明の場合は、教員からの指導対応が難しくなる。

過去にも、よく発生していた「物壊し」
新しく買ってもらった学用品や持ち物が壊され、それが繰り返し行われると、被害者のダメージは甚大なものとなる。

ある公立小学校高学年のクラスで起きた事例では、女子児童の持ち物がターゲットとなり、体操服や給食の白衣、上履き、筆記具、ノートや教科書、習字で書いた掲示物など、様々な持ち物が、切られたり、壊されたり、捨てられたりしていた。

これに対応して、担任教員は、クラス全員に対して推奨されているという談話を行い、その後、「いじめについてのアンケート(記名あり)」を実施したが、これを見たり聞いたりした児童は現れなかった。
そのため、特に物汚しとして頻繁に被害を受ける上履きを職員室預かりとして、この被害児童は、登校すると職員室へ行き、上履きと外履きを交換するようにして過ごしていた。

その間、なるべく被害児童本人も持ち物を持ち帰るようにして、一部の品は担任教員に預けるようにしていたが、わずかな隙をついて、被害は起こり、また、教室にある机や椅子へのイタズラが発生し始めた。

しばらくして、担任教員は、再度談話をして、アンケート調査を実施し、また、普段から被害児童に冷たく当たる児童へ個別の聞き取り調査をしたが、情報を得ることができなかった。
また、度重なる指導に関し、他保護者からは、子どもが犯人扱いされているなどとのクレームが入るようになり、適正な指導ができないまま日が過ぎることになった。

被害児童は、徐々に登校することが精神的に辛くなり、すべての言動が控えめになっていき、他の児童とのコミュニケーションがギクシャクし始めた。

これは、代表的な物壊しで加害者が不明であるため、加害児童に適正な指導ができず、繰り返し被害が発生したために、より深刻な事態になっていったという事例の一つです。

このケースでは、相談を受けた私は、被害児童からの聞き取りの中で、犯行時刻を大まかに時間帯として個別の出来事毎に特定し、それをレポートにして保護者から学校に提出するようにお願いしました。

同時に、製品内にICレコーダーを完全に埋め込んだ学用品を新たなに製作し、壊される前提で机の引き出しに入れておくようにお願いしました。

学校では他保護者からのクレームがあり、またクラス内の雰囲気もあまり良くないことを考慮に入れ、再度の調査は難しいとのことでしたが、犯行時間帯を特定したことで、時間割と照会すると、一定の特徴が見られ、漫然と監視などをするよりも効率良く見張りができる状況を作り出すことができました。
また、ICレコーダーを仕込んだ学用品は、仕掛けてから3日目で壊されていることが確認できたので(この学用品は破壊されてもその深部にICレコーダーユニットを取り付けているため、分解しない限り機会は見つからない。)、内容物となるデータを取り出し、再生したところ、加害児童等の会話や破壊音が録音されていることを確認しました。
会話の様子から、3名のうち1名の氏名が入っていたことで、加害児童が特定され、このデータを学校に提示したことにより、他2名の加害児童も特定。当初、3人は加害行為を認めなかったが、証拠があることを示唆されると、直後に、全員が行為を認めたため、その日の内に指導が行われ、翌日、再指導の上、保護者への説明や保護者間での謝罪が行われた。

それからしばらくして、児童間での謝罪とその受け入れがあり、本件は終結することとなった。

この件では、児童とはいえ、教員らから特定されても、明確な証拠がない限り、自らの行為を認めないケースがあることや証拠という担保により教育的な適正な指導ができたということがわかります。

関連記事

コメントは利用できません。

ページ上部へ戻る