NEWSによれば、現在大阪市内の中学2年生が、小学生であった頃、不登校になったのは、いじめが原因である可能性があるとの申し立てについて、2015年6月16日に当時の橋下徹大阪市長の指示に基づき、「有識者でつくる実態解明のための第三者委員会」を設置し、2016年5月にこの第三者委員会は、いじめを認定し、学校の不作為対応を非難したとある。
この被害者は小学1年生の頃から、殴る蹴るなどの暴力を同級生から繰り返し受けていたとされ、2013年の11月ごろから小学校卒業まで不登校になった。
大阪市では、市立桜宮高校の男子生徒が、部活の顧問の体罰後自殺をした問題をきっかけに、重大ないじめや体罰の調査を「市長が指示できる条例」が設置され、このケースが初の運用となる。
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いじめ対応を行う団体の中には、学校の弱点が教育委員会であるとするような概念を主張するが、学校現場や教員人事を見ていくと、教育委員会と学校長や教員は人事異動で互いのポストを往来しているケースが多く、組織は一列化した部署違いであると考えるのが妥当である。
学校業界では、一定の職務上の取り決めがあると主張するかもしれないが、一般社会の中で、人事往来が常である組織は、一連の組織であると定義されるのは常識である。
もはや役人の形式主義は常識ではなく、実態に基づく判断を一般市民はしていることを、役人は認識すべきであろう。そんなに市民は馬鹿ではないのである。
さて、だからこそ、教育委員会が組織する第三者委員会は、よほど、バイアスを排除しない限り、組織を守るための第三者委員会になりかねないという懸念が生じてしまう。これでは、「名ばかり第三者委員会」であって、事実上、利害関係がなく、公正な判断ができる第三者が判断したとは言えない環境が生じてしまうのである。
これに対し、利害関係が薄い市長などが組織を指示できる第三者委員会は、その設立当初から、公平性を一定レベルで保つことができ、その権能を確保することができるから、この大阪市の取り組みは、公平性を欠いた利害関係まみれの第三者委員会の世界に、大きな楔をうつ契機と言えるであろう。
また、私立校には、教育委員会という組織がない。また、指導を行うべき上級組織がなく、私立校の学校の自治権のみが強権的に存在してしまう。
私立校にとって、いじめはネガティブな出来事であり、直接経営を圧迫しかねない事態を誘発する恐れがある。例えば、どんなに設備を整えた私立校であっても、いじめが横行し、灰色の世界を児童生徒が過ごさなければならない環境であるのならば、志望校から外されるのがオチである。
入学志願者が減少することは、私立校にとって経営上の問題を発生させ、その運営を極めて厳しいものにする。だから、私立校にとって、いじめはネガティブ情報であり、原則的に「いじめはゼロである。」と言いたいのである。
「いじめはあるがすぐに解消しています。」というのもその実、真実かどうかよく検証すべきだろう。すぐに解消するいじめという場合、学校側の対策として、予防プログラムや初期対応のためのシステムなど具体的な対策があるはずである。仮に、こうした制度が、「講和」のみであったり、「研修」のみであるならば、その私立校の主張は、間違いなく嘘であると判断してよいであろう。